3月1日(水)、第40回 西武学園文理高等学校 卒業証書授与式が挙行されました。
春を感じる暖かな光の中、303名の卒業生がそれぞれの夢や希望を胸に新たな道に向け旅立ちました。
学校長 式辞(全文)
時折そよぐ明るい春風が、皆さんの卒業を言祝ぐかのようです。
40期生の皆さん、卒業おめでとう。入学式もなく、長期の自宅学習から始まった40期生。様々な制約を受けながらも、一歩一歩、本来の高校生活を取り戻してくれました。学年主任をはじめ、担任の先生方も、皆さんの気持ちを少しでも引き立てようと、様々なイベントを企画実行しました。頼もしい、楽しい学年でありました。こうして来賓の方々や多くの保護者の皆様をお迎えして卒業式を挙行できる事を本当に嬉しく思います。
今、皆さんは激動の時代を目の当たりにしています。
一つはコロナです。国内で7万人以上、世界では700万人もの方が亡くなられたと言われています。それでも、人類の叡智と努力で、普通の日常生活を取り戻しつつあります。私は、世界中に瞬く間に広がる病魔をみて、地球の小ささを痛感しました。これから皆さんが生きる時代は、グローバルな協働なくして、健康な身体、安全な生活環境、安定した食料供給なども考えられない時代です。
もう一つは戦争です。国家と言う組織が多くの国民の命を救う場合もあれば、奪う場合もあります。21世紀にこのような他国への侵略・殺戮が地球上で起こるとは信じられませんでした。
この間、私は、ずっと人の命について考えていました。
お祝いの席で恐縮ですが、家族にも看取られなかった方、何のための闘いか知らずに戦闘で命を落とす方。悲しいかな、まだ、人間は命を粗末に扱ってしまいます。
命の価値とは何かを改めて考えさせられます。生きた時間の長い短いは絶対的な指標ではありません。私は命の価値は「存在」と「生き方」だと思います。皆さん一人ひとりが唯一の存在です。エコーで皆さんの拍動を初めて確認した時のご両親の気持ちを、一度は聞いてみてください。成長する命が、どれだけ家族に喜びとエネルギーを与えるか。存在自体が価値ある事なのです。大切にしてください。
「生き方」は千差万別、それがいいのです。皆さんには必ず、生きがいをもって活躍できる舞台が待っています。その舞台を自分で作れる人もいれば、仲間とゆっくり作る人もいます。慌てないでください。息が切れたら休めばいいです。迷うことがあったら母校に帰ってきて先生方に相談するのもいいでしょう。西武文理はそんな皆さんを歓迎し、しっかりと支援します。そして最後の最後は、大人として自分の生き方を決断してください。決断しない人生は成長も喜びもありません。また、変革に臆病な大人になってはいけません。成長しない大人にはなってはいけません。きっと皆さんには、輝かしい舞台が待っています。逞しくしなやかに人生を切り開き、本校で学んだ、グローバル精神とホスピタリティ精神を発揮して、自分自身も含め、少しでも多くの人々の幸福を実現して下さい。皆さんならきっとできると信じています。
保護者の皆様、この3年間、本校の教育活動にご理解ご協力を賜り、心から御礼申し上げます。朝早くから夜遅くまで、勉強や部活、行事に熱中する生徒たちを支えてくださいました。心より感謝申し上げます。
最後になりましたが、本日ここに本校後援会会長様、北斗星の会会長様のご臨席を賜り、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
本日旅立つ若者たちの、更なる成長と、一人ひとりの夢の実現を、皆様とともに祈念したいと思います。
第40期生の皆さん、西武文理高校の卒業生として、誇り高い人生を歩んでください。心から皆さんの人生が平和で、生きる喜びに満ちあふれることを願っています。
令和5年3月1日
西武学園文理高等学校長
柴田 誠