7月23日(木)~29日(水)に行われた「2021年度 日中青年会議」に、本校のグローバルクラス1年生 佐藤 和可さんが参加をしました。
日中青年会議とは、2009年から始まり、今年で13年目を迎えるサマープログラムです。日本・中国・香港・台湾の4地域から互いを理解し、友好関係を築き上げたいという志を持った中高生が親善大使として選ばれ、1週間を共に過ごし、様々なアクティビティ・セッション・対話を通して日中間の課題や歴史的背景などについて考え、関係改善に向けてall Englishで話し合います。自発的学習、文化交流、地域交流の3つの概念に焦点を置いており、セッション内外を通じて参加者がお互いから学び、将来に向けた夢を共有できることを目的としています。
会議は毎年、偉人の名言をテーマに行われます。今年のテーマは米国32代大統領フランクリン・ルーズベルトのエレノア夫人の言葉。
“It isn’t enough to talk about peace. One must believe in it. And it isn’t enough to believe in it. One must work at it.”
「平和について話すだけでは十分ではありません。人はそれを信じなければならない。そしてそれを信じるだけでは十分ではありません。人はそれに取り組む必要があります。」
佐藤さんは、自ら本プログラムに応募。事前の課題や面接等の厳しい選考を通過し、見事日本代表20名に選出されました。以下にご本人の感想を掲載いたします。
佐藤さんの感想
私は日中青年会議に参加したことで自分に変化があったと感じています。以前は、日中問題のニュースを見るたびに「なぜ中国は日本を批判するのだろう?」といつの間にか中国に対して悪いイメージを持っていました。しかし事前課題を通して、偏った視点で日中問題を見ていたのだと気づきました。
本会議を経て一番感じたことは「私は全く中国について知らなかった」ということと、「日本人は問題意識を持たずに表層的な情報を鵜呑みにして、一方的に中国を見ているのではないか」ということです。特にこれらを感じたセッションはHistory Sessionです。このセッションは4地域間の歴史認識の違いを捉え、これまでとGroup 6_The History Textbook 異なる視点から日中間の歴史的出来事を振り返ることによって、日中関係を見つめ直すことを目的としたものです。セッションの中では3つのアクティビティがありました。
1つ目は同じ史実がそれぞれの地域の教科書でどのように描かれているのかを比較するアクティビティです。グループごとによって比較する歴史の出来事が違うのですが、私のグループは日中戦争について比較しました。それぞれの教科書で記述されている出来事の目的、侵入者が行ったこと(統計や進入した側への影響)、教科書のスタンスについて比較し分析しました。
2つ目は4地域間の協調のためになるべく中立に近い教科書作りを目指し、各グループで比較した出来事を取り上げ、独自の教科書を制作するアクティビティです。制作の過程で歴史を学ぶ意義や教科書の役割とは何かなどをグループで話し合いました。
3つ目は歴史の認識の違いが引き金となって現代の日中関係に影響をもたらしている実際の問題を取り上げ、各個人の歴史観を問うような質問が投げかけられ、ディスカッションをするアクティビティです。現代に生きる私たちが歴史とどのように向き合っていけばいいのかを考えさせられました。
このセッションの中で、日本の歴史の教科書は詳しい記述がされていないと知りました。同時に日本人は歴史について表面的な事柄しか知らないのではないかと考えました。また、歴史を詳しく、客観的かつ多角的に捉えて理解することで、あらゆる問題に対して様々な角度で話し合うことができ、問題解決に繋がるのだと感じました。
この会議を通して中国に対する漠然とした悪いイメージや偏見をなくして、互いに分かり合い、成長できる関係になりたいと思いました。この関係になる為には長い時間がかかるかもしれません。しかし、この会議で出会った仲間と6日間過ごしたことによって日中友好関係の架け橋になれたのではないかと考えています。今後、親善大使としてこの会議で学んだことを発信していきます。加えて、これからも日中という枠組みに限らず世界で起きている社会問題や平和について考えて行動していきます。